herを観ました。
思ってた以上に面白かったです。
最初は「ありがちな話なんだろうな」思って前情報の好評価ぶりに対してタカを括っていました。
以下ネタバレあり
本編は失恋した主人公が人工知能と恋する話。
エンディングは…もうちょっと何かして欲しかったかも。とか思ったけど
何より感情の描写が絶妙にうまかったと思いました。
あと印象に残ったのは光や色彩感覚、主人公が寝そべっているシーンなんかは
まるで白昼夢みたいな雰囲気、失恋した人間の空っぽになった無重力感、
前を向うとしてるのに、忘れようとしてるのに、思うほどどうしようもなく
自我に抑えこまれた無意識が頭をもたげてくる(変な言い方笑)、的な
失恋引きずり無限ループを
見事役者の表情で繊細に描いている!
人工知能サマンサには姿がありませんが
主人公との対話のうちに様々な感情を持っていきます。
サマンサが落ち込んだ彼を楽しませようと
外へ連れだしてあげたり主人公が海へ連れて行ったり、
リアル以上に彼は五感を持って彼女と接していて素敵だなあと思いました。
そしてサマンサも人間以上に人間で、ブレードランナーのレプリカントぶりの愛くるしさです。
ここまでだったら別にブログに書く必要は無い、
なのに何故こんなに感想を書きたくなるんだろうと自分で今疑問に思ってます。
多分この映画を観て思ったことは他にもあって
どんなに近くにいても遠くに感じたりその逆を感じることがあって
見えてるから、見えないことがあって
例えば人に、何をしてあげたのか、通信手段を使えばいつでも会った気になれるし合おうと思えばいつだって会える関係、相手に対してどれだけ向き合っているかについて。
SNSやメッセージアプリで人々を近くに感じることは
悪いことではないし使い方で楽しい物ではあるけれど
あなたは本当の意味での”伝える”という事をしているのでしょうか?
少なくとも、私はこの問いにギクリとしたし、こういうことに対して軽薄だったが故に
後悔していることもあったりなかったり。
彼がサマンサのおかげで本当に心を伝える、伝え合うとは何かを見つけられて
愛を与える事の喜びを思い出し、心を満たし、
最終的に二人の関係は終わってしまうのですが
彼らはお互いに前を向いて進むことが出来ました、
皮肉にも、人との対話の大切さを人工知能という非人間から学ぶというところが
この映画の評価の所以なのかもしれません。
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