久しぶりに衝撃というか、ずんと来た重い作品でした。今回は長文ネタバレあり
まず最初にWW1の映像が流れて白黒カラーのまま始まる。
彼にとっての現実は「白黒」で描かれる
その後過去の回想シーンになるのだけど、
「色鮮やか」に描かれる。
何よりもジョニーが純粋で心優しいどこにでもいる青年だということが
彼女の家の描写などでよく見て取れる。
本当に良い子だから、ジョニーの心の中の叫びも、言葉の使い方も
罪の無い若者が容赦なく傷つけられる事を暗喩するかのような気がした。
回想シーンによく出るキリストと呼ばれる人の事は人によって様々な解釈があると思うが
本編が進むに連れて彼にとってキリストと呼ばれる人は彼の世界でキリスト自体になったと思う。
彼の持っている知の中で
救いを乞うにふさわしい偶像が必要になり
彼をイコンとして選んだのだろう。
意識の中で現実に話した事では無い会話が「鮮やかなカラー」で描かれている。
彼は意識の中での世界と過去と不確かな現在でさまよっているのだが、そのあたりの流れが凄く苦しくなる。
おそらくこのあたりが彼が自分の現状を理解する苦しみの頂点だと思う。
看護婦長さんのシーン
ここからは苦しみの中からわずかな幸せを見いだそうとする
健気なジョニーの姿に一番胸が痛くなった。
窓を開けてもらい
「この暖かいのはなんだろう?…そっか!太陽だ!!!神様ありがとう!!!」
とジョニーが喜ぶ。朝や夜の訪れを皮膚の感覚で感じ取る。
ここの件では泣いた。
良かったねとか可哀想とまたちょっと違う意味で。
僅かに残された希望を彼の中で構築しはじめる。
それは見世物になる事。
でも必死に伝えたメッセージさえ叶わない。
最後の「殺してもらえない」って言うエンドは多数の人がこの映画を
後味悪いと思う原因かと思う(「ジェイコブズラダー」は死ぬ一瞬で天国に行けるし
前に感想をupした「カッコーの巣の上で」はマクマーフィーは自我を喪失したが彼の意思を汲み取ったチーフのお陰で望まない”生”からの脱却が出来た)が、
よくよく考えるとこれがこの作品では一番の結末なのだと思う。
反戦映画としては、ジョニー自体が兵士達な訳で、
戦争が続く限り生き地獄から出る事さえ許されない。
痛烈な反戦ですね。 うーん…ちょっと落ち込みが続く。
あと「戦争映画」のジャンルに入れてよかったのかな。
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